OSI参照モデルの層を解説:サイバーセキュリティにおけるネットワーク層の重要な役割

 Oct 24, 2025 9:03:07 AM  OT/IoT セキュリティ

※この記事は、SecurityGateのブログを抄訳及び一部内容を改変したものです。

はじめに

ネットワーク層、あるいは専門用語ではOSI参照モデルのレイヤー3は、ネットワークアーキテクチャの中核、そしてサイバーセキュリティにおけるその守護者としての役割を持っています。本記事では、サイバーセキュリティにおけるその極めて重要な役割について焦点を当てていきます。

 関連記事:OT と CPS の文脈における OSI モデルとサイバーセキュリティの基礎

ネットワーク層の役割

ネットワーク層の本質的な役割は、多様なネットワーク間でのデータ転送を容易にし、ある地点から別の地点への通信がシームレスかつ安全に流れるようにすることです。この役割は、主に以下の3つの機能によって実現されます。

  1. デバイスに固有のIPアドレスを割り当てることによるデバイスの明確な識別と通信
  2. BGPやOSPFなどのプロトコルを活用した、データの最も効率的な経路の決定
  3. データパケットが複雑なグローバルネットワーク網をナビゲートし、安全に宛先に到達することの保証 

この層のセキュリティは、機能面とデバイス面の両方の制御を網羅しており、極めて重要です。機能面では、ファイアウォールとネットワークデバイスの戦略的な構成によって防御を強化する必要があります。デバイスの観点からは、侵入検知システム(IDS)、ファイアウォール、侵入防止システム(IPS)、異常検知ツールなどのセキュリティ対策が連携してトラフィックパターンを精査します。この包括的なアプローチは、サービス拒否攻撃(DoS)、中間者攻撃(MITM)、IPスプーフィングなどの潜在的な脅威を特定し、軽減するのに役立ちます。 

ITとOTにおけるネットワークセキュリティの違い

ネットワークの安全確保をめぐるこの絶え間ない戦いの最前線に立つのは、ネットワークエンジニア、セキュリティオペレーションエンジニア、アーキテクチャマネージャーなど、役割は多岐にわたります。しかし、真のヒーローは、ファイアウォール、ルーター、スイッチを綿密に設定するネットワークエンジニアとスペシャリストです。彼らの専門知識は、スムーズで衝突のないデータ転送を保証し、安全で効率的なネットワーク通信の基盤を築きます。 

ネットワークのセキュリティ評価には、いくつかの重要な指標が関係します。VLANの適切な構成やネットワークセグメンテーションを含む、ネットワークのアーキテクチャと設計は非常に重要です。さらに、トラフィック分析、マルウェア検出、脆弱性管理に関連するKPIは、脅威に対するネットワークの耐性に関する洞察を提供します。しかし、OTネットワークに焦点を移すと、課題はさらに深刻になります。多くのOT環境は、数十年前に構築されたものもあり、そのレガシーな性質により、従来のパッチ管理が複雑になり、特有のセキュリティ課題が生じています。 

対照的に、IT部門はパッチ管理プロセスを標準化し、脆弱性への迅速な対応を確保しています。この大きな違いは、サイバーセキュリティを取り巻く状況の変化と、OTとITインフラの両方を保護するための適応性の高い戦略の必要性を浮き彫りにしています。 

まとめ

サイバーセキュリティの複雑さを乗り越えていく中で、ネットワーク層は、デジタル世界を守る上でアーキテクチャとエンジニアリングが果たす重要な役割を証明しています。

原文:https://securitygate.io/blog/network-layer-in-cybersecurity/


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